ダブル~私が選ぶのはどっち~
慎が私の後ろから近づいて来た。

私の肩に慎の顎が乗った。

結婚してからの赴任は周知のことだけれど、やっぱり自己紹介の時にちゃんと盛り込むべきだろう。

「呼び方だけの問題だろう?」

慎は首元に頭を擦り付けてくる。

「慎、くすぐったい。」

私はくすくす笑う。

こんな風にじゃれ合うことが出来るのも、一緒に居る事が出来るからだ。

「書類は、ちゃんと庄司姓で通すけれどね。」

慎は私のうなじに手を回す。

「もうこれが納まる場所はここじゃないでしょう。」

慎は私の首元のネックレスを外す。

そして私の身体を慎の方に向かせる。

「琴乃さん、庄司琴乃さん。」

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