ダブル~私が選ぶのはどっち~
今時苗字と名前で4音しかないのも珍しい。
「それはそれでイケメンが増えると、会社に来るのも楽しくなるじゃない。」
まあ、確かにそうかもしれない。
入社4年目の私達はそろそろ仕事に慣れて来た26歳。
朝礼の時にこんな事を話す余裕も出てきたわけで…。
「琴乃みたいにあんなイケメン上司を捕まえていれば余裕かもしれないけど。」
「和華、それはちょっと違うと思う。」
私は妙に冷静に答える。
そしてその上司、草野伸哉(くさのしんや)をチラリと見る。
確かにイケメンである事はうちの課の人間はみんな認めるだろう。
私の入社当時の指導係で、今でも直属の上司だ。
草野主任は真面目な顔つきをして、新入社員3人を見ているようだ。
私もおもむろに新人社員の方に目を移す。
「えっ?」