ダブル~私が選ぶのはどっち~
「私、最初に言いましたよね。どうも草野主任には本気になれないって。」

私は眉間にしわを寄せながら答えた。

「あの頃とは状況が違うだろう。あの時はまだお互いをちゃんと知らなかったから、そんな言葉も受け止めた。でもあれから4年だぜ。関係は安定してきたと俺は思っているんだけどな。」

私は目を細めた。

「そういう草野主任だって、別に今の関係のままで良いと思っているんでしょう?そういう関係だから責任を取らなきゃいけないとか、そんな変な事を考えないで下さいね。」

そろそろ取引会社が見えてきた。

珍しく草野主任は押し黙っている。

私はさっさと駐車場に車を停めた。

「草野主任、着きましたよ。」

私はフットブレーキを踏むと、草野主任に声を掛けた。

「ちょっと待て、琴乃。」

私は草野主任の方を見て、首をかしげた。

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