ダブル～私が選ぶのはどっち～
5
「二人とはどうなっているの？」

しばらく日にちが過ぎた昼休み、和華とお弁当を食べている。

「どうって…、慎が会社に居るだけであとは何も変わらないかな。」

あれから何度となく来る草野主任のお誘いは断り続けている。

もちろん気が乗らないし、面倒な話を蒸し返すのが分かっているから。

そう言えば…、この課に慎が配属されてから、こちらの方からの連絡ない。

しかし時々視線を感じて振り向くと、そこに慎が居る事は多い。

その前に慎は視線を外しているようだが。

「それにしても、和華には気を遣わせてしまってごめんね。」

私は和華を見る。

そう、和華は慎の指導係となった。

そして私はもう一人の新人、矢田凌平の指導係となったのだ。

「ううん、慎君も全く琴乃の事には触れないよ。それどころか本当に仕事に集中しているよ。一生懸命仕事を覚えてくれているから、私も教え甲斐がある。」

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