ダブル~私が選ぶのはどっち~
そうなのだ、傍から見ていても慎が頑張っているのは良く分かる。

「あんまり器用な方ではないと思うけど、その分真面目にコツコツこなしているよ。」

和華は少し感心したように私に報告する。

「そう言えば、矢田君はどう?」

今度は和華が私に聞いてくる。

「うん、彼はとても優秀だわ。こちらが一つ言うと、その先をちゃんと考えた答えが返ってくる。良い営業マンになると思う。」

私はそう答える。

「草野主任みたいに?」

和華が笑う。

案外、草野主任と矢田君は似たタイプかもしれない。

それはうすうす私も感じていた。

この先、矢田君の腹黒い面が出てくるかもしれない…と少し思っている。

それは器用さ故なのかもしれない。

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