ダブル~私が選ぶのはどっち~
「やっぱり…、あの子…、慎君だよね?」

和華が私の表情を伺っている。

2日前に会った時には、うちに入社したなんて言っていなかったよね…。

私は首をかしげる。

いや…、私が聞かなかっただけか…。

慎のプライベートに立ち入る事はしないから。

「こちらから…、庄司慎(しょうじしん)くん。」

「よろしくお願いします。」

慎が頭を下げる。

そして頭を上げた瞬間、私と目が合ったような気がした。

「そして、矢田凌平(やだりょうへい)くん。」

この子の方がやり手に見える。

「よろしくお願いします。」

慎よりぶっきらぼうに感じるその低い声。

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