ダブル~私が選ぶのはどっち~
そして小声で私に話しかけた。

「吉川さんには付き合っている人がいるんですか?」

「こら、今は仕事中。」

私は表情を変えずに答える。

「じゃあ、今日は空いていますか?」

私は怪訝そうにその若者の顔を見る。

慎と同期の矢田凌平、22歳。

まだゆっくりと話した事もないので、プライベートは全く知らない。

今時の若者らしく、少し茶色のさらさらな髪がスマートな印象を与える。

しかし頭は切れる、仕事は絶対できる。

私はそう感じている。

「食事にでも連れていけって言っているの?来週あたりに歓迎会はあると思うから、その時で良いんじゃない?」

私は冷静に答える。

「いえ、その前に吉川さんの事をもっと知りたいと思いまして。」

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