ダブル~私が選ぶのはどっち~
私もすぐに自分の仕事に意識を戻す。

それからは取引会社に出す見積りを作成し始めた。

かなり慎重に内容を吟味する。

「うん…、ここなんだよね…、もう少し値段を落とせば確実なんだけどな。」

もうこれは私の権限を越えてしまっている。

私は書類をプリントアウトすると、草野主任へ持ち込んだ。

「草野主任、この部分なんですけど…。」

「ゆっくり時間を取りたいから会議室に来い。」

草野主任は分かっているとでもいうように、私に言った。

そんな私達に矢田君から声がかかった。

「同席させてもらって良いですか?」

私達は同時に矢田君の方を見た。

「そうだな、いい勉強になるだろう。矢田も来い。」

草野主任は余裕の笑顔を矢田君に向けた。

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