ダブル~私が選ぶのはどっち~
和華が指導係だから、今のところ直接慎とかかわる事がない。

これは草野主任が意図を持って決定したことである事は間違いない。

でもこの状況に私自身は助かっていた。

想定外だったのは、矢田君は少々厄介な奴だったという事だけ。

私は片づけを終え、会社を後にした。

「おい、帰るのか?」

後ろから声を掛けられた。

「草野主任。」

私は声の方を振り返った。

「あっ、忘れて帰るところでした。」

正直に私は答える。

「そんな事だろうと思っていたよ。」

草野主任はいつものように笑う。

「今日は付き合ってもらうぞ。」

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