ダブル~私が選ぶのはどっち~
後から出てきた草野主任はもういつもの様子と変わらない。

「おい、吉川。ちょっと矢田を借りていくぞ。」

私はニコニコして返事をする。

「矢田君、草野主任の御指名だから頑張って勉強しておいで。」

草野主任が私に笑いかける。

その笑顔に私もホッとした。

きっと保留にしたのが良かったのだと思う。

草野主任ももっと落ち着いて考えたら、正しい判断を下すだろう。

それはきっと私とのセフレ関係の解消。

私は草野主任にとって、それが一番良い事だと思っていた。

草野主任とトラブルになると、いつも私はそう思う。

会社内という距離の近さは、いろんなことが起こるものだ。
















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