ダブル~私が選ぶのはどっち~
私はその事がすごく不服であるのだが、男が動かないのなら仕方がない。

だからと言って、私達に会話があるわけではない。

私は静かに慎に包まれて眠るのだ。

多分、慎が何かの理由で安らぎを求める時なのだろうと私は勝手に解釈をしている。

新しい生活が始まった慎が、今私に求めているのはそこだろうと思う。

それにしても、入社してからの慎はおとなしい。

きっと周りで私と慎が顔見知りだと気がついた者はいないだろう。

次の日、私は誰も寄せ付けないオーラを発しながら、仕事をこなす。

慎との時間を取るために、なるべく残業を減らしたい。

それには何とか午前中に事務仕事を納得のいくところまでこなし、昼から見積りを提出しに行きたい。

もちろん、矢田君を同行させて。

それこそ彼が提出したレポートの答え合わせを、その場で実体験させるつもりだった。

「吉川、今日の予定はどうなっている?」

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