ダブル~私が選ぶのはどっち~
それはどうも私が男と女の事を分かっていないから、難しく感じるだけだと和華は言う。

私は時々和華と居ると、自分には自分が自覚していない人間としての大きな欠陥があるのではないかと思ってしまう。

だから慎の思いも…。

私は会社で慎の方を初めて意識して見た。

「何だか面白くない。」

私がそうつぶやくのを聞いた和華はクスリと笑う。

「私はそんな琴乃が好きなんだけどね。」

「ありがと。」

私はそれだけ和華に返すと、仕事に集中した。

やっぱり午前中に事務仕事は思ったところまで進まなかった。

自分の中のもやもやした気持ちに支配されながら、私は時計を確認する。

相手先とのアポイントの時間は2時だ。

「矢田君、外でランチしてからそのまま出掛けられる?」

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