ダブル~私が選ぶのはどっち~
「でも?」

私は眉間にしわが寄っている事をつい意識する。

「一人の女性として気になっているのも正直な気持ちです。」

あらら…、草野主任の言う事は当たっていたようだ。

「それなら早く仕事で一人前になる事ね。それから考えさせてもらうわ。」

私はついそんな事を言ってしまった。

これでしばらくこの生意気な新人君に対して、時間稼ぎが出来ると思ったのだ。

「そうですよね。まだ俺なんて相手にもしてもらえないですよね。でも…。」

また“でも”って言ったよね…。

私は嫌な予感しかしない。

「頑張って早く一人前になって、吉川さんに認めてもらいます。」

「違う!」

私は思わず大きな声で叫んだ。

「私はあなたより4歳年上で、仕事の指導係なの。どうしてそういう考えになるのかな。」

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