ダブル~私が選ぶのはどっち~
それは慎に対しても同じだ。

「初めて会った時は高校の制服を着ていたのに。」

私はマジマジと慎を見つめた。

「社会人になって、少しでも琴乃さんに近づけたかなと思っていたのに、まだ全然だった。琴乃さんって仕事が出来る人だったんだね、うすうすは気が付いていたけど。」

慎が私の手を取った。

「それに草野主任もすごい人だ。俺なんかまだまだ子供なんだなって痛感させられた。」

ちょっと目線を落として、慎はそんな風に言った。

「矢田が言っていたよ。琴乃さんと居ると、仕事は大変だけどすごくやりがいがあるって。」

そして慎は私に視線を合わせた。

「矢田に何か言われた?」

明らかに慎は私の様子を伺っている。

「まあね、でもこれ以上セフレは増やせない。」

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