ダブル~私が選ぶのはどっち~
-琴乃さん、俺と真剣に付き合って下さい。-

そんな風に慎が自分の気持ちを言ったのは。

ましては今日のように、結婚の事を言いだすなんて初めてだ。

すると慎は立ち上がって、自分の鞄をあさり始めた。

「これを取りに行ったから、家に戻れなかったんだ。」

慎は私の左手の薬指に指輪をはめた。

「慎?」

「大学4年間のバイト代で買ったものだから大したものでないけれど、ずっと思っていたんだ。」

慎は私の顔を覗き込んだ。

「社会人になったら…、琴乃さんと対等に横に並べるようになったら、プロポーズしようって。」

私は自分にはめられた指輪を眺める。

それは小さなダイヤモンドが付いていた。

「もらえないよ、慎。私…。」

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