ダブル~私が選ぶのはどっち~
でも言葉とは裏腹に、自分の中に温かいものが湧いてくる。

「琴乃さん、それを返す時は俺達の永遠の別れを意味するからね。それを琴乃さんに預けるから、ちゃんと考えて。」

「でも…、慎、私達はセフレだよ。」

慎はゆったりと笑いながら首を横に振る。

「それは勝手に琴乃さんが宣言していただけ。俺の中ではちゃんと琴乃さんと付き合っている事になっているから。」

慎がこんなに自分の気持ちを話したのは、やっぱりあの再会した時だけだったような気がする。

「琴乃さん…。」

慎が私を包み込む。

そしてお互いがぬくもりを感じながら、眠りに落ちて行った。

…いや、違う。

私は慎が眠ったのを注意深く感じると、そっとベッドを抜け出す。

やっぱり泊まるわけにはいかない。

< 75 / 193 >

この作品をシェア

pagetop