ダブル~私が選ぶのはどっち~
私のネックレスには指輪がネックレスのトップのようにつけられている。

「くれた人はそのつもりだったみたい。」

私は思いがけない質問に、そんな風に答えた。

「支社に居た時の人ですか?」

彼女は慎と矢田君と同期入社した石原美南。

彼女は営業職に向いていなかったため、私と同じタイミングで本社に異動となった。

そして石原さんは本社では総務課で事務を専門としている。

「どうして?」

私は石原さんの顔をまじまじと見る。

支社に居た時は慎と同じで、それほど接点はなかった。

本社へ来てからの方が、違う部署なのにずっと話す機会が増えた。

それは仕事に関する事だけだったけれど。

「吉川さんと草野主任の噂は聞いていましたから。」

「そう。」

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