ダブル~私が選ぶのはどっち~
それに業を煮やしたのか、ある日慎は会社の研修帰りの私の目の前に現れた。

「琴乃さん、俺と真剣に付き合って下さい。」

慎は若いエネルギーを私に余すことなくぶつけてきた。

けれど、私は首を横に振った。

「大学に入学したのだから、慎にお似合いのいい子が見つかるわ。」

私は手を振りながら、投げやりな返事を返した。

「琴乃さんは分かっていない。」

慎は怒りを前面に出して、私に迫って来た。

そこで私は渋々提案した。

「あなたに本当に好きな子が出来るまで、セフレでいてあげる。」

慎は納得しなかったが、その条件でないと私は一切関係を断つと突っぱねた。

私からは決して連絡をしない。

ただ慎の呼び出しには、よほどの用事がない限り応じる約束をした。

そして今を迎える。

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