ダブル～私が選ぶのはどっち～
「正直、三人ともしつこくて…。どうしたらいいかと吉川さんにお伺いを立てに来たんです。」

そう言えば、転勤して最初の頃、散々三人から連絡があった。

それが全て仕事の事ではなくプライベートの事だと分かると、私はあっさりスマホの番号を変えた。

社内の用事に見せかけた社内用メールもすべて仕事に関する事以外は無視を決め込んだ。

「ごめんね。石原さんに迷惑をかけていたんだね。」

私は素直に石原さんに謝った。

「いいえ、私もずっと断っていたんです。でもこれは吉川さんに相談した方が良いかなと思い始めて…。」

「私がスマホを番号ごと変えてしまったからね。まさか石原さんの方に…。本当にごめんなさい。私の方で何とかするから、石原さんの方はひたすら無視しておいてくれる？」

私は申し訳なくて、石原さんに頭を下げた。

「でも…、良いんですか？」

石原さんも三人の催促に尋常なものじゃないものを感じたんだろう。

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