ダブル~私が選ぶのはどっち~
私は急に仕事の顔に戻る。

「それなら同行を頼もうか。」

「はい、分かりました。」

私は早速出掛ける支度を始める。

今までいた支店と違って、本社では電車で取引会社を回る事がほとんどだ。

会社の最寄りの駅で、二人で並んで電車を待っていた時だった。

「吉川ってさ、草野と付き合っていたの?」

既婚者の為、そんな事には全く興味がないと思っていた林主任の言葉に、私は驚いた。

「急に何の話ですか?」

私は林主任の方を振り返った。

「草野から連絡が来たんだ。そっちに行った吉川の様子を教えて欲しいって。」

どうも林主任と草野主任は仕事上連絡を取る事が多いらしく、面識はあるようだ。

「理由を聞いても、どうもはっきり言わないんだよな。」

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