ダブル～私が選ぶのはどっち～

「琴乃と連絡が取れない事に気が付いた二人が会社でやりやっちゃってね…。」

「えっ？」

私は驚いて、和華を見る。

「草野主任と慎君がさ、お互いが琴乃の連絡先を知っているんじゃないかって言い合いを始めてしまってね。そこに矢田君まで入ってさ…。」

「会社で？」

「当然。」

和華はこっくりとうなずいた。

「私は事情を知っているからさ。でも他の人からすると、どうして仕事の引継ぎにそこまで前任者の琴乃の連絡先が必要なのか分からないから、みんな怪訝な顔をしていたわ。」

「はぁ、みんなに迷惑を掛けちゃったんだね。」

私は呆れたように首をかしげる。

「それから三人はずっとピリピリしているわ。…まだ誰とも連絡を取っていないんでしょう？」

「もちろん。」