相沢!ベッピン鉄拳GIRL
ルーツ出現!
学校帰りに俺んち、
元気食堂『やひろ』に仲原と森下、集合。
「ねえ、竜太、相沢先輩とばかり遊んでないで、料理部にも顔だしてよ」
と、まず口を開いたのは森下。
「遊んでる訳じゃありません。お手伝いです」
白々しいけど、言い訳する俺。
「マサヨシにかまい過ぎて藤岡先生に怒られてたな」
と、仲原。
見てたんならちょっとは助けて。
「まあな、コンペも近いしそろそろ本腰入れないとな」
俺がそう言うと森下が、
「じゃ今日、早速行こう!材料の買い出し!」
森下くん、完全に俺のことあてにしてますね。
旨いもん、かぎ分ける俺の鼻と値切り技。
アンド、新作のアイディア。だが、しかし。
「ゴメン、今日は家の仕事が。
じいちゃんに手伝えって言われてる」
「ええー?」
森下がガッカリしたところで、店にお客さん。
「ハイ、ラッシャイ‼」
親父の威勢のいい声に、
「「こんちわー!」」
「どうもですうー!」
なだれ込んで来たのは、柔道部と剣道部の皆様。
京子さんとマサヨシもいる。
「あ、猿‼」「猿いるうー!」
何か見覚えある二人。
「お前ら、剣道部だったのか」
川島先輩があわてる。
「何言ってるのよ、あなたたち‼
……ごっ、ゴメンなさい、後輩の教育が
行き届いていなくて……こらっ!謝って‼」
「「ヤダーッ‼」」
大変だな……川島先輩。それでなくても、
マサヨシが相沢門下生になった事がウワサを呼び、
「今まで帰宅部だった運動部未経験のコ達が、
部活に入りはじめたの。その対応に追われていて」
そう言っていた。
相沢効果、再び。そして、ウチの食堂は学生の注文の声でにぎわう。
「猿うー!なんかおごって!」
「ぜってーヤダ!何でお前らに」
いつのまにか、買い出しから帰って来てたオフクロが、嬉しそうに微笑んでたたずんでいる。
「竜ちゃん、女の子にモテるようになったのねえ」
……どこを見て言っている。
「これも、京子ちゃんのおかげだわ」
何かにつけてオフクロはこう言う。
もう、すっかり嫁扱いなときもある。
……頼むから逃げられる様なことだけはしないで欲しい。
ちらりと京子さんを見ると、これまた天使の微笑みで軽く会釈。
隣にいる川島先輩の目が線になっている。
仲原や森下と部活の打ち合わせ。
掛け持ちができるのもこの二人のおかげ。
やっぱ、こいつらの役に立つ事はしたい。
飛行機も料理も好きだし。
けど、今日はじいちゃんの手伝いが……。
「竜太は帰っとるのかー」
店の入口の引き戸が開いてじいちゃんが顔を出す。
「おまあ、帰っとるなら早う来んかい」
じいちゃんはいつもの出で立ち。
直し屋に短くしてもらったジャンパー。
腹巻きにお守り挟んで、作業ズボンに、地下足袋。
野球帽には何故か『八百正』の文字。
気合いが入っている時は、ツナギを着るので
今日はそんなに神経をつかう仕事じゃない事がわかる。
「ゴメン‼今すぐ行くから!……悪イ二人とも、そんなわけで……」
ちゃっと手を合わせて席を立ち、店を出ると京子さんとマサヨシもついてきていた。
「へ?何で?」
「いや、ちょっと見てみたいだろ?
矢広家のルーツがどんな人物か」
と、京子さん。
ははあん、じいちゃんのケンカ拳に興味があるのだな?
歩き方がどことなくウキウキしている。
「まちゃよちいー、おみゃーも来たきゃあー。
俺からはにゃれたきゅないのきゃー」
マサヨシにほほずりしょうとする俺。
「そのノリやめて下さいッ‼ついて行けません!」
必死で抵抗するマサヨシ。
ヴウン!
空を切る音がして、回転しながらスパナが飛ぶ。
片手でそれをつかみ、次にきたペンチを上に弾く。
もう片方の手で、弾いて落ちてきたペンチをつかんで
「じいちゃん、あぶねえだろ!」
飛んできた方を見るとじいちゃんが、不敵な笑い。
作業場の入口に立っていた。
「まあまあ、なまっとらんようだの」
元気食堂『やひろ』に仲原と森下、集合。
「ねえ、竜太、相沢先輩とばかり遊んでないで、料理部にも顔だしてよ」
と、まず口を開いたのは森下。
「遊んでる訳じゃありません。お手伝いです」
白々しいけど、言い訳する俺。
「マサヨシにかまい過ぎて藤岡先生に怒られてたな」
と、仲原。
見てたんならちょっとは助けて。
「まあな、コンペも近いしそろそろ本腰入れないとな」
俺がそう言うと森下が、
「じゃ今日、早速行こう!材料の買い出し!」
森下くん、完全に俺のことあてにしてますね。
旨いもん、かぎ分ける俺の鼻と値切り技。
アンド、新作のアイディア。だが、しかし。
「ゴメン、今日は家の仕事が。
じいちゃんに手伝えって言われてる」
「ええー?」
森下がガッカリしたところで、店にお客さん。
「ハイ、ラッシャイ‼」
親父の威勢のいい声に、
「「こんちわー!」」
「どうもですうー!」
なだれ込んで来たのは、柔道部と剣道部の皆様。
京子さんとマサヨシもいる。
「あ、猿‼」「猿いるうー!」
何か見覚えある二人。
「お前ら、剣道部だったのか」
川島先輩があわてる。
「何言ってるのよ、あなたたち‼
……ごっ、ゴメンなさい、後輩の教育が
行き届いていなくて……こらっ!謝って‼」
「「ヤダーッ‼」」
大変だな……川島先輩。それでなくても、
マサヨシが相沢門下生になった事がウワサを呼び、
「今まで帰宅部だった運動部未経験のコ達が、
部活に入りはじめたの。その対応に追われていて」
そう言っていた。
相沢効果、再び。そして、ウチの食堂は学生の注文の声でにぎわう。
「猿うー!なんかおごって!」
「ぜってーヤダ!何でお前らに」
いつのまにか、買い出しから帰って来てたオフクロが、嬉しそうに微笑んでたたずんでいる。
「竜ちゃん、女の子にモテるようになったのねえ」
……どこを見て言っている。
「これも、京子ちゃんのおかげだわ」
何かにつけてオフクロはこう言う。
もう、すっかり嫁扱いなときもある。
……頼むから逃げられる様なことだけはしないで欲しい。
ちらりと京子さんを見ると、これまた天使の微笑みで軽く会釈。
隣にいる川島先輩の目が線になっている。
仲原や森下と部活の打ち合わせ。
掛け持ちができるのもこの二人のおかげ。
やっぱ、こいつらの役に立つ事はしたい。
飛行機も料理も好きだし。
けど、今日はじいちゃんの手伝いが……。
「竜太は帰っとるのかー」
店の入口の引き戸が開いてじいちゃんが顔を出す。
「おまあ、帰っとるなら早う来んかい」
じいちゃんはいつもの出で立ち。
直し屋に短くしてもらったジャンパー。
腹巻きにお守り挟んで、作業ズボンに、地下足袋。
野球帽には何故か『八百正』の文字。
気合いが入っている時は、ツナギを着るので
今日はそんなに神経をつかう仕事じゃない事がわかる。
「ゴメン‼今すぐ行くから!……悪イ二人とも、そんなわけで……」
ちゃっと手を合わせて席を立ち、店を出ると京子さんとマサヨシもついてきていた。
「へ?何で?」
「いや、ちょっと見てみたいだろ?
矢広家のルーツがどんな人物か」
と、京子さん。
ははあん、じいちゃんのケンカ拳に興味があるのだな?
歩き方がどことなくウキウキしている。
「まちゃよちいー、おみゃーも来たきゃあー。
俺からはにゃれたきゅないのきゃー」
マサヨシにほほずりしょうとする俺。
「そのノリやめて下さいッ‼ついて行けません!」
必死で抵抗するマサヨシ。
ヴウン!
空を切る音がして、回転しながらスパナが飛ぶ。
片手でそれをつかみ、次にきたペンチを上に弾く。
もう片方の手で、弾いて落ちてきたペンチをつかんで
「じいちゃん、あぶねえだろ!」
飛んできた方を見るとじいちゃんが、不敵な笑い。
作業場の入口に立っていた。
「まあまあ、なまっとらんようだの」