相沢!ベッピン鉄拳GIRL
勉強会でなく、全くデートでした。
お昼になり一階のラウンジで、
持ち寄った弁当を広げた。
お弁当組は、他に親子連れが二組。
雑誌を見ながらダベってる学生もいる。
のどかだ。
あまりにものどかだ。
「いい天気っすねえ」
こんなに幸せでいいのかしら。
「一応、勉強しに来てるんだけどな」
卵焼きをつまみながら、京子さんが言う。
そう。京子さんは三年生。来年、受験だ。
「やっぱり、体育系の大学に行くんすか?」
遠くに行っちゃったらどうしよ。
「……あんま、考えてない」
すっげえしぶい顔で答える京子さん。
「親父さん達、追いかけてカナダ行くとか、言わないで下さいよ、ついてくの大変だから」
京子さんのお父さんとお兄さんは格闘家だ。
「直接会って、飛び蹴りかましたい、ってのはあるな」
ハードな親子っすねえ。
京子さんはさらにおむすびに手を伸ばし、
「多分、十倍になって返ってくるだろうけど」
と、言った。
ハードっすねえ。
覚悟しとかなきゃ、俺も。……怖えーな。
それから、資料を図書室で選び、学習室に戻る。
小一時間くらい勉強して、帰る事にした。
あんま、勉強にならない。
つい、目的とは関係ない本、借りてしまう。
『親子で作るプロペラ飛行機』
河川敷の土手の上に通る道を、並んで歩く。
両側は青々とした草地。
見晴らし良好。
一緒に歩くことはあったけど、こうやって
隣に並んでっていうのは、そういえばなかった。
その事に今、気が付いた。
そのうち、手をつないだり、寄り添って
腕を組んだりしちゃうんだろうか。
公園のベンチでもたれあったり、
イチャっとしちゃったり、
……キ、キ……キスとか、しちゃったり、
しちゃうんだろうか。
えっと……、それから、
そのうち……、
あっっ……。
ダメっ……、俺の想像力………。
それ以上は……、
それ以上は……、まだ……。
あっっ………。
「あのな、竜太」
京子さんの声で我に返る。見ると、
目を細ーくして、すんげ、流し目。
「考えている事、顔に出過ぎ」
ええっ。えっっ?顔にさわってみる。
心なしか温かいような。陽気のせい?
京子さんは不敵な上目遣いになり、
「そう簡単に、コトが運ぶと思うなよ」
と、言った。
まさかの宣戦布告?
「は?なんすか?な、何のコトすか?」
「わははは…あははは…」
朗々とした声で笑う京子さん。
もう、負けです。全面降伏です。オヨヨ。
話題を変える俺。
「この辺、よく仲原や森下と来るんす。
飛行機、飛ばしに。今日も持ってくれば良かった」
話題も飛び過ぎキツい。
ぼんやりと遠くを見ていた、
京子さんの顔がだんだん険しくなる。
「……竜太、あれ、何か変じゃないか?」
河川敷とは反対側、住宅地の道路。
雰囲気のやさぐれた、数人の男子がたむろってる。
小柄な一人だけ学生服。
「カツアゲっすね」
持ってた鞄、放りだして駆け出そうとする、
京子さんの腕をつかむ。
「なんでっ!」
「自業自得っす。隙があるから絡まれる。それに、
忘れたんスか?どこで逆恨みされるか、
わかんないっしょ」
ハッとする京子さん。
持ち寄った弁当を広げた。
お弁当組は、他に親子連れが二組。
雑誌を見ながらダベってる学生もいる。
のどかだ。
あまりにものどかだ。
「いい天気っすねえ」
こんなに幸せでいいのかしら。
「一応、勉強しに来てるんだけどな」
卵焼きをつまみながら、京子さんが言う。
そう。京子さんは三年生。来年、受験だ。
「やっぱり、体育系の大学に行くんすか?」
遠くに行っちゃったらどうしよ。
「……あんま、考えてない」
すっげえしぶい顔で答える京子さん。
「親父さん達、追いかけてカナダ行くとか、言わないで下さいよ、ついてくの大変だから」
京子さんのお父さんとお兄さんは格闘家だ。
「直接会って、飛び蹴りかましたい、ってのはあるな」
ハードな親子っすねえ。
京子さんはさらにおむすびに手を伸ばし、
「多分、十倍になって返ってくるだろうけど」
と、言った。
ハードっすねえ。
覚悟しとかなきゃ、俺も。……怖えーな。
それから、資料を図書室で選び、学習室に戻る。
小一時間くらい勉強して、帰る事にした。
あんま、勉強にならない。
つい、目的とは関係ない本、借りてしまう。
『親子で作るプロペラ飛行機』
河川敷の土手の上に通る道を、並んで歩く。
両側は青々とした草地。
見晴らし良好。
一緒に歩くことはあったけど、こうやって
隣に並んでっていうのは、そういえばなかった。
その事に今、気が付いた。
そのうち、手をつないだり、寄り添って
腕を組んだりしちゃうんだろうか。
公園のベンチでもたれあったり、
イチャっとしちゃったり、
……キ、キ……キスとか、しちゃったり、
しちゃうんだろうか。
えっと……、それから、
そのうち……、
あっっ……。
ダメっ……、俺の想像力………。
それ以上は……、
それ以上は……、まだ……。
あっっ………。
「あのな、竜太」
京子さんの声で我に返る。見ると、
目を細ーくして、すんげ、流し目。
「考えている事、顔に出過ぎ」
ええっ。えっっ?顔にさわってみる。
心なしか温かいような。陽気のせい?
京子さんは不敵な上目遣いになり、
「そう簡単に、コトが運ぶと思うなよ」
と、言った。
まさかの宣戦布告?
「は?なんすか?な、何のコトすか?」
「わははは…あははは…」
朗々とした声で笑う京子さん。
もう、負けです。全面降伏です。オヨヨ。
話題を変える俺。
「この辺、よく仲原や森下と来るんす。
飛行機、飛ばしに。今日も持ってくれば良かった」
話題も飛び過ぎキツい。
ぼんやりと遠くを見ていた、
京子さんの顔がだんだん険しくなる。
「……竜太、あれ、何か変じゃないか?」
河川敷とは反対側、住宅地の道路。
雰囲気のやさぐれた、数人の男子がたむろってる。
小柄な一人だけ学生服。
「カツアゲっすね」
持ってた鞄、放りだして駆け出そうとする、
京子さんの腕をつかむ。
「なんでっ!」
「自業自得っす。隙があるから絡まれる。それに、
忘れたんスか?どこで逆恨みされるか、
わかんないっしょ」
ハッとする京子さん。