烏と狼の恋愛事情
「のぶたす!遅かったアルな!」
「いつもこの時間だけど」
「信女さん、おはよう。
早速だけど宿題写させてもらえるかしら?」
「聞く前に鞄漁ってるじゃない」
このクラスは疲れる。
私に話しかけてくるのも謎だし、
何より
「おうおう、副会長様は遅刻ギリギリでも
何も言われないんですねィ、特待生免除は羨ましいや」
「おいサド!一々のぶたすに喧嘩売るんじゃねーヨ!」
「売ってねーよ、朝の挨拶でィ。おはよう、副会長様」
こいつがいることが一番疲れる。
剣道部でも毎回何かと突っかかってくるし、
こういう風に嫌味ったらしく副会長様と呼んでくる。
相手にしなければいいんだろうけど、
わたしのプライドがピキピキとヒビが入るのが我慢ならない。
口を開こうとした時、バンと教室の扉が開いた。
「信女さん!また書類作りながらドーナツ食べましたね!
書類に溶けたチョコが付いているんですが」
「…チョコじゃない、ハンコ」
「完全にチョコでしょう。ハンコだったら
どうしてこんなところにつけるんですか。やり直しです。」
「……」
首根っこを掴まれて引きずられる
お昼休みでもいいのに…と思ったけれど
あの書類今日までだったんだっけ。と思い直し
仕方なしにため息をついた。
「あ、のぶたすー!
このチョコファッション食べていいアルか?」
「!!…だ、…半分個…ならっ……」
「嫌なら嫌でいいアルよ」
そんな会話に割り込んできたのはまたも沖田
ニヤニヤと口角を緩ませながら笑う。
「じゃあ俺とポンデリング半分個しようぜィ」
「!ダメェェェェ!!!ポンデリングゥゥゥゥ!!!」
何か察したように私の首元から手を離した異三郎。
私はそれ同時に勢いよく立ち上がって、沖田に飛び蹴りした。
「ぐほォ!」
「おお!さすがアル!のぶたす!!」
「綺麗な飛び蹴りね、それでそこのゴリラの脊髄破壊してきてくれないかしら。」
「いや、綺麗な飛び蹴りねじゃないから。さすがじゃないから。
もうHR始まってるんだけど。さっさと席つけ。」
軽く頭をチョップされ、振り向けば
白髪の天パを揺らしながら だるそうに立っている銀八。
銀八の目は私が取り返したポンデリングにいき
「お、うまそうなの持ってんじゃん。いただき」
ぱく、口に吸い込まれた。
「……せ、……ポ…グ……
ポンデリング返せェェェェェ!!!」
「え、や ちょ、一口じゃん?それくらい許し……
ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!」
朝はいつもこんな感じ。
私のクラスは いつもこんな感じ。