治癒魔法師の花嫁~愛しい君に誓いのキスを~
もたもたしていたら、互いの家の家来だの使用人だのが、それぞれの主人を探しに出てきてしまうかもしれない。
リーゼの家と、ラルフの家の仲がかなり良くないことを考えると、家中の者同士がこの草原で出くわすことは、良くない。
そんなことは、二人とも良く判っていた。
リーゼは、最後の名残にラルフの首に腕をまわして、抱きしめた。
ラルフは『心配するな』と言ってくれたけれども、リーゼは心配で心が張り裂けそうだった。
ラルフも、そんなリーゼの心の痛みを癒すように儚く細い身体をぎゅっと抱きしめる。
「愛してるよ、リーゼ。この世に存在するどんなものよりも」
「わたしもよ、ラルフ……」
声が、掠れる。
リーゼも、どんなにラルフの事が好なことか。
「……無事に帰って来てね」
「ああ……この口づけに、誓って、必ず」
ラルフもまた、抑えきれない心のままに、リーゼの唇と自分の唇に重ね合わせた。
最初はおずおずと唇同士が触れ合うだけだったけれど、やがて、舌と舌が絡まって、別れを惜しむ。
二人の間にもはや言葉はない。
ただ、互いの体温と息使いが、全ての想いを語っていた。
この甘く切ない口づけにかけて、互いが、互いのただ一人の人だと。
愛している……と。
しばし別れることになっても、必ず、帰る。
そして、こうして抱きしめ合うのだと、誓う口づけだった。
二人がそうやって抱きしめ合っている時間は、角笛が鳴り終わるまでのとても短い時間だったけれども。
彼らにとっては、永遠にも等しく価値がある時間だったのだ。
リーゼの家と、ラルフの家の仲がかなり良くないことを考えると、家中の者同士がこの草原で出くわすことは、良くない。
そんなことは、二人とも良く判っていた。
リーゼは、最後の名残にラルフの首に腕をまわして、抱きしめた。
ラルフは『心配するな』と言ってくれたけれども、リーゼは心配で心が張り裂けそうだった。
ラルフも、そんなリーゼの心の痛みを癒すように儚く細い身体をぎゅっと抱きしめる。
「愛してるよ、リーゼ。この世に存在するどんなものよりも」
「わたしもよ、ラルフ……」
声が、掠れる。
リーゼも、どんなにラルフの事が好なことか。
「……無事に帰って来てね」
「ああ……この口づけに、誓って、必ず」
ラルフもまた、抑えきれない心のままに、リーゼの唇と自分の唇に重ね合わせた。
最初はおずおずと唇同士が触れ合うだけだったけれど、やがて、舌と舌が絡まって、別れを惜しむ。
二人の間にもはや言葉はない。
ただ、互いの体温と息使いが、全ての想いを語っていた。
この甘く切ない口づけにかけて、互いが、互いのただ一人の人だと。
愛している……と。
しばし別れることになっても、必ず、帰る。
そして、こうして抱きしめ合うのだと、誓う口づけだった。
二人がそうやって抱きしめ合っている時間は、角笛が鳴り終わるまでのとても短い時間だったけれども。
彼らにとっては、永遠にも等しく価値がある時間だったのだ。