治癒魔法師の花嫁~愛しい君に誓いのキスを~
青い空に白い雲が、二、三個浮いている穏やかな昼下がり。
大きな黒馬に二人で乗って、ゆっくりと進む大草原は、ちょうど春の盛りだ。
どこを見回しても、地平まで花が咲き乱れ、色とりどりの絨毯が敷き詰められているようだった。
お気に入りの場所で、大好きな人に告白されれば嬉しいはず。
なのに。
リーゼの目から大粒の涙がぽろぽろと溢れたのを見て、黒衣のラファエルは、慌ててぎゅっと、その細い身体を抱きしめた。
「リーゼ? 泣いてるの?」
ラファエルの声が、心配そうに震えてる。
リーゼとしては、一刻も早く泣きやんで、にっこり笑顔で「わたしも好きです」って言わなくちゃならなかったのに。
溢れる感情のさざ波は、なんとかしようと思えば思うほど、リーゼの言葉は詰まる。
「う…く……っごめんなさ……」
泣き過ぎて、肩で息をするりーゼの背をなでるラファエルの優しい手が、余計に哀しくて。
しばらく涙が止まらなかったリーゼにラファエルは、そっと言葉を紡いだ。
「もしかして……僕の告白、迷惑だった……?」
「ううん……っ! ううん! 迷惑だなんて!
とっても嬉しかったの……っ!
わたしも……ラファエルさまのことが、大好き、だから……」
リーゼの言葉に、ほっと表情をゆるめると、ラファエルは改めて彼女の肩を抱いて囁いた。
「リーゼも同じ気持ちで良かった。
だったら、どうしてそんなに泣くの……?」
「それは……わたしが偽物だから……」
「偽物……?」
リーゼの言葉に、ラファエルは不思議そうに首を傾げた。
大きな黒馬に二人で乗って、ゆっくりと進む大草原は、ちょうど春の盛りだ。
どこを見回しても、地平まで花が咲き乱れ、色とりどりの絨毯が敷き詰められているようだった。
お気に入りの場所で、大好きな人に告白されれば嬉しいはず。
なのに。
リーゼの目から大粒の涙がぽろぽろと溢れたのを見て、黒衣のラファエルは、慌ててぎゅっと、その細い身体を抱きしめた。
「リーゼ? 泣いてるの?」
ラファエルの声が、心配そうに震えてる。
リーゼとしては、一刻も早く泣きやんで、にっこり笑顔で「わたしも好きです」って言わなくちゃならなかったのに。
溢れる感情のさざ波は、なんとかしようと思えば思うほど、リーゼの言葉は詰まる。
「う…く……っごめんなさ……」
泣き過ぎて、肩で息をするりーゼの背をなでるラファエルの優しい手が、余計に哀しくて。
しばらく涙が止まらなかったリーゼにラファエルは、そっと言葉を紡いだ。
「もしかして……僕の告白、迷惑だった……?」
「ううん……っ! ううん! 迷惑だなんて!
とっても嬉しかったの……っ!
わたしも……ラファエルさまのことが、大好き、だから……」
リーゼの言葉に、ほっと表情をゆるめると、ラファエルは改めて彼女の肩を抱いて囁いた。
「リーゼも同じ気持ちで良かった。
だったら、どうしてそんなに泣くの……?」
「それは……わたしが偽物だから……」
「偽物……?」
リーゼの言葉に、ラファエルは不思議そうに首を傾げた。