しょーとしょーと
微熱(恋)
夏風邪をひいた。
熱を出して寝込んでから一週間だというのに、
桜(さくら)はリビングのソファに座って、体温計をにらんでいた。
「いくらだった?」
義理の兄である健一(けんいち)に話しかけられ、桜はうなだれる。
「37度2分」
「微熱が治らないな」
健一は桜の横に座って、桜のおでこに手を当てる。
桜は内心、ドキドキしていた。
これではもっと熱が上がりそうだ。
「ちょっと熱いか。そうだ、いいものあるんだ。ちょっと待ってな」
「うん」
キッチンに向かう健一の背を見ながら、桜はため息をついた。