しょーとしょーと

「風邪ってキスしたらうつるとも言うよな」


「キ、キス……」


桜は息をのんだ。


健一がこんな風に桜をからかうことは初めてで、

からかわれているのか、本気なのか、判別がつかない。


健一が顔を近づけてくる。


その唇を桜は見てしまう。


唇がさらに近づき、近すぎて見ていられない距離になる。


もう少しで触れる……というところで、健一は止めた。


健一が笑い、息が桜の唇にかかる。


桜の体は緊張したままで、体に鉄板でも入ってるかのように動けなかった。

< 23 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop