しょーとしょーと
「風邪ってキスしたらうつるとも言うよな」
「キ、キス……」
桜は息をのんだ。
健一がこんな風に桜をからかうことは初めてで、
からかわれているのか、本気なのか、判別がつかない。
健一が顔を近づけてくる。
その唇を桜は見てしまう。
唇がさらに近づき、近すぎて見ていられない距離になる。
もう少しで触れる……というところで、健一は止めた。
健一が笑い、息が桜の唇にかかる。
桜の体は緊張したままで、体に鉄板でも入ってるかのように動けなかった。