しょーとしょーと

大通りから外れた小道に面した店は隠れ家的存在なのか、いつ来てもガランと空いている。


これで店をやっていけるのか心配になるけど、

石橋が言うにはランチはそこそこ混み合うそうだ。


ランチは同僚の女性と一緒に食べるので、ここには来たことがなかった。


他の女性に教えたくないのだ。


幸は読みかけの本のページをめくる振りをしながら、

カウンター内でカップを洗う石橋の姿を盗み見た。


石橋の顔は整っていた。


すっと通った高い鼻筋に意思の強そうな目、

何かスポーツでもしているのか引き締まった体つき。


幸はこのカフェに初めて来たときから石橋のことが気になっていた。

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