しょーとしょーと
髪の毛のぬれた莉乃を見て、母は目を丸くした。
「一人?」
意味がわからず、莉乃は首をかしげた。
その途端、母が悲しげな顔をした。
「有紗ちゃん、来なかったでしょ。
有紗ちゃんのお父さんから連絡をもらって、待ち合わせ場所って言ってた公園まで追いかけたんだけどね。
姿が見えないから、莉乃までどうにかなっちゃうんじゃないかって肝が冷えたわ」
「何、言ってるの……お母さん」
莉乃は笑おうとして、失敗した。
母は莉乃の両肩を掴むと、中腰になって目線を合わせた。
「落ち着いて聞いて。有紗ちゃん、昨日事故にあって、今朝方亡くなったんだって」