しょーとしょーと
雨空の花火(恋)
夏休みに入って最初の日曜日、近所の海で花火大会が行われる。
相模浩介(さがみ こうすけ)は男友だちと4人で会場の海まで来たわけだが……
あいにく小雨が降っていた。
「ついてないなー」
「まあ、でも、花火はあがるんだろ? 中止じゃなかっただけ、良かったじゃん」
海岸の手前にコンクリートの通路があって、通路沿いに屋台が並んでいる。
浩介たちは傘を差しながら、他の人の傘を避けるように歩いていた。
雨だというのに結構な人がいて、会場は混みあっている。
雨のことでぐちぐちと言う友人の相手をしながら、浩介は屋台を眺めた。
「お、たこ焼き食いたい。ちょっと買ってくるわ」
「浩介、おまえ、雨の中でよく食えるな」
「いーじゃん。傘あるんだし、小雨だし。なんとかなるだろ」