しょーとしょーと
紫陽花(サスペンス)
結婚して5年目。
紫陽花がもうすぐ咲くという時季に、旦那の圭吾(けいご)が行方不明になった。
何か事件に巻き込まれたのか、それとも自発的に家を出ていったのか、
何もわからず、彩音(あやね)は泣き暮らしていた。
そんな彩音を支えてくれたのは、圭吾の親友の祐基(ゆうき)だった。
頻繁に家に訪れては、彩音の顔を見て、話し相手や食事の世話などをしてくれた。
生きることを放棄しかけていた彩音はげっそりと痩せてしまったが、
祐基のおかげでなんとか生きながらえたと思う。
そして、圭吾がいなくなって一年がたつ頃、
彩音は圭吾と暮らした家で祐基と生活をしていた。
「引っ越し、しないか?」
「え?」