しょーとしょーと

「そうか、ありがとう。さあ、冷えるから部屋に戻ろう」


祐基は彩音の肩に腕を回して、室内の方に彩音の体を向けた。


「うん、あ」


彩音は庭に植えた紫陽花のことを思い出した。圭吾と結婚した年に植えたのだ。


そろそろ花が咲いているはず。


「ちょっと待ってて。紫陽花だけ見たいわ」


「彩音」


祐基の腕からすり抜けて、庭を進んだ。


その先にはピンクの紫陽花が咲いていた。


「……ピンク?」


毎年、紫陽花は青い花を咲かせていた。


色が変わっている。

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