しょーとしょーと
妄想現実化チケット(不思議)
夏休みが近づくある日のこと。
高校の帰り道で永実(えみ)は一枚の小さな紙を拾った。
「妄想現実化チケット……?」
その紙には『妄想現実化チケット』と書かれていた。
「何、これ」
手書きであれば子供が作ったものだろうと思うところだが、
その文字は綺麗に印刷されていて、まるで売りもののチケットのようだ。
だけど、妄想が現実になるなんてことがあるわけない。
これを警察に届けるのも変な気がするし、もしもゴミなら道に落としたままでは申し訳ないしで、
永実は迷った末、どこかのゴミ箱で捨てようと制服のポケットに入れた。
妄想現実化かあ。
もしも妄想が現実になるなら、何を妄想するだろう。