しょーとしょーと
そう考えると、永実の脳裏にある男子の笑顔が浮かんだ。
同じクラスの曽田(そだ)くんだ。
永実の片思いの相手である。
残念ながら、永実は男子と話すのが苦手で、曽田くんと話したことはほとんどなかった。
いつも見てるだけだ。
もしも、今、曽田くんが現れて話しかけてくれたら……。
そう思ったところで、「井上《いのうえ》さん」と話しかけられた。
井上とは永実の苗字だ。
「はい?」と言いながら振り返り、永実の顔が固まった。
曽田くんが立っていた。