しょーとしょーと

男は永実にナイフを向けながら、店員に向かって叫んだ。


永実はすっかり頭が真っ白になっていたが、

手が動いた拍子にポケットに当たり、カサッと音がしたのを聞いて、チケットの存在を思い出した。


そうだ。

今こそチケットの力を使うのよ。


もしも、今、曽田くんが飛び込んできて、強盗から救ってくれたら……と必死になって考えた。


しかし、残念ながら、何も起こらなかった。


ど、どうして……?


男は店員に金庫まで案内させ、永実を引きずるようにして歩いた。


一歩進むたびにナイフが揺れて、永実に当たるのではないかとヒヤヒヤする。

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