しょーとしょーと

「よかったらこれ、使って」


「でも、それじゃ店長さんが困るんじゃ……」


「俺はここの2階に住んでるから、とりあえずは大丈夫。

雨の日にちょっと困るかもしれないから、できれば次の雨の日までに返しに来てくれると助かるかな」


「わかりました。ありがとうございます」


お会計を済ますと、石橋に再度、頭を下げて店を出る。


すぐに傘を広げた。


暗い空に黒い花が咲いたみたいだな、と思いながら、傘をクルクル回す。


雨が降ると憂鬱な気分になったりするものだけど、幸の心は軽かった。

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