しょーとしょーと
彼から傘を借りることができた。
梅雨の今の時期、次の雨が明日になる可能性もある。
今まで会社帰りにしか立ち寄ったことのなかったお店だけど、
明日、お店にうかがう口実ができた。
明日は晴れているといいな。
次の雨が降る前に、彼に会いに行こう。
「彼には結局言い出せなかったけど……」
幸は鞄から折りたたみ傘を取り出し、眺めた。
「ま、でも、時にはついていい嘘もあるよね」
うん、とうなずくと折りたたみ傘を鞄に戻した。
(雨と嘘、終わり)