しょーとしょーと
赤い月の夜(不思議・恋)
バイトが終わり、美央(みお)は夜空を見上げた。
「赤い月だ」
不気味に見えるほど赤く染まる月が、美央にはとても大切だ。
「行かなくちゃ」
美央は近くにある公園に足を向けた。
公園にたどり着くと、
白い肌に金髪、青い瞳の青年が、ジャングルジムのてっぺんに座り込んで、空を眺めていた。
「エルク」
青年の名を呼ぶと、彼は振り返って美央を見た。
その途端、物憂げだった顔が笑顔に変わる。美央も思わず微笑んだ。
「ちょっと待ってて」
エルクはそう言うと、ジャングルジムの端まで移動すると、そのままジャンプして飛び降りた。