しょーとしょーと

そこでふと、向かいの席に座る小島(こじま)が「うちの会社って、一人で残業していたら出るらしいよ」と言っていたのを思い出した。


出るとは、幽霊である。


「そんな……バカなね……」


絵里のつぶやきが静かな社内に漏れる。


とそのとき、フロアの反対側に明かりがついた。


すぐに消える。


今度は別の一角の明かりがつき、消える。


それの繰り返しで、あちこちランダムに電気がついては消えが続いた。


「な、なんなの……」


絵里は怖くて泣きそうだ。


思わず目をぎゅっとつむり、耳をふさぐ。


つむったまぶた越しに真上の電気がついたことに気づいた。

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