しょーとしょーと
その電気は一向に消える気配がない。
絵里はゴクッと喉を鳴らしながら、怖々と目を開けた。
周りの電気は消え、絵里のいるところだけついていた。
最初の状態に戻っている。
怪奇現象はこれで終わったと思っていいのだろうか。
すると、「ごめん、ごめん」と男性の明るい声が響いた。
「え……?」
出入り口にスーツ姿の男性が立ち、電気のスイッチに触っているようだった。
「営業先から戻ってきたら人がいたから、ちょっと驚かそうかなーってつい。
電気つけたり消したりしたら、予想以上に驚かせてしまったみたいだな。悪かったよ」
「あーもう、びっくりしましたー」