恋人が消えた瞬間





『……好きなんだ』




ある日の記憶が蘇った。

覚えてる、これは思いが通じあった日の事だね。




その時、私はやっぱり泣いていた。
悲しみに明け暮れた時に触れた優しさ。



あなたはずっと泣いている私の頭を撫でてくれていた。



『笑って?』




そう言われてから、私は笑うようになった。


大嫌いな自分が好きになった。




人を愛する事を知った。




『どんなに今が辛くてもきっと未来には幸せが待ってるよ』



その言葉を信じてきた。


あなたと一緒に居たときは幸せだった。



だから、今起こった事はおかしい。




そうだ、これは夢なんだ。



だったら早く覚めて。






サヨウナラなんて聞きたくない。



アイシテル、って聞きたいよ。




愛して………





夢は現実を呼び覚ました。




白いワンピースは、すでに真っ赤なワンピースになっていた。



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