恋人が消えた瞬間
『人は死んだらどこへ行くんだろうね』
また記憶が蘇った。
今度はある日の他愛もない話。
私はふと思った事を彼に聞いた。
彼は少し困ったように笑いながらそれでも答えてくれた。
『一番愛した人の所へ帰ってくるよ、きっと』
真剣に言ったのか、ふざけて言ったのかそれはわからないけど。
あの日、あなたは確かにそう言った。
その言葉の裏は何が隠れていたのかも分からずに。
『私が死んだら待っててくれる?』
そう聞いた私にあなたは少し驚いたような顔をしたけど、そっと頭を撫でてくれた。
その意味に気付かずに、私はその暖かさを確かめていた。
でもね。
やっぱりさみしいよ。
寂しい………