恋人が消えた瞬間
4.嘆きの果て
「……っ……」
目を開けるとベッドの中に居た。涙で枕が湿っているのを感じた。
もしかして………?
恐る恐る自分の格好を見る。……いつものパジャマだ。赤くなったワンピースじゃない。
「……なんだぁ……」
やっぱり夢だったんだ。
なんて嫌な夢だったんだろう。
こんなに私をズタズタにして、神様は意地悪だね。
さぁ、彼の元へ行かないと。
元気よく起き上がって冷蔵庫に入れているケーキを取りに行く。
彼が好きなショートケーキ。私の手作りが中に…
「………あれ……?」
ない。
なくなってる。
確かにここに入れたはずなのに。まさか、盗まれた!?
でもケーキなんて普通盗むかなぁ……まぁいいや、ケーキは彼の家でもう一回作れば……
時計。そうだ、時計!
お金を貯めて買った時計があれば、プレゼントはまだある。
私は急いで机の上にあるはずの時計を見た。
よかった、あった。
ラッピングするの忘れてるけど。
「………え?」
違う、何かが違う。
私はそっと時計を手に取り眺めた。
この時計は日付も出るし、電池も新しいからズレない。
なのに…………
「嫌っ……嫌ぁぁぁぁぁ!!!」
時計は、彼の誕生日の次の日を指していた。