恋人が消えた瞬間
2.失った
どうして?

ねぇ、どうして?



その人は誰?




嫌な考えばかりが頭の中を駆け巡る。
ガタガタとケーキを持った手が震えた。



私は居ても立っても居られず、近くの建物の壁からそっと様子を見た。




女の人は、彼の服をぎゅっと掴んでいた。


胸が締め付けられそうになる。



苦しい。苦しいよ。



でも、彼も女の人も表情が冴えていない所から、良い雰囲気な訳じゃなかった。



もう少しだけ近くに行こうと、二人が気を取られている隙に私は死角になっている噴水の所に隠れた。



水音が続く中、静かに声が聞こえてきた。


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