season
「失礼します…」
手が震える。
気を抜くと、声まで震えそう。
「山田先生〜!夏海来ったよー!!」
そんな私の緊張が吹き飛ぶくらいの大声で、エリカが山田先生を呼んだ。
「えっ、瀬名さん!?」
山田先生と同時に、職員室内の先生が私を見た。
「先生…お久しぶりです。色々とご迷惑をおかけし、すみませんでした。」
「いいのよ、瀬名さん。あなたが謝ることじゃないわ。秋山先生から全て聞いたから。あなたも辛かったわね…」
全て聞いたって…一体、何を?
そう思っていたら、教頭先生がやってきた。
「来づらかっただろう?よくがんばって来たな、瀬名。君は元々優秀な生徒だから、授業もすぐに追いつけるだろう。今日から心機一転、頑張るんだぞ。」
「はい…ありがとうございます。」
きっと、秋山先生が守ってくれたんだね。
自分が勝手に手を出しただけだ、なんて言ったんだろう。
だからこそ、その思いを無駄にしないように、頑張ろう。
「じゃ、失礼しましたー!」
そう意気込んで、エリカとユリと共に、職員室を出ようとした。
その時。
ーーードンっ…
「あ、ごめん!」
ちょうど職員室に入ってきた人とぶつかってしまった。
「いえ、こちらこそすみま…」
謝りながらその人物を見上げた時。
まさか、という気持ちと…
ああ、やっぱり私は幸せにはなれないんだって思いが
心の中で、交錯した。