season

「失礼します…」



手が震える。



気を抜くと、声まで震えそう。




「山田先生〜!夏海来ったよー!!」




そんな私の緊張が吹き飛ぶくらいの大声で、エリカが山田先生を呼んだ。




「えっ、瀬名さん!?」



山田先生と同時に、職員室内の先生が私を見た。



「先生…お久しぶりです。色々とご迷惑をおかけし、すみませんでした。」



「いいのよ、瀬名さん。あなたが謝ることじゃないわ。秋山先生から全て聞いたから。あなたも辛かったわね…」




全て聞いたって…一体、何を?




そう思っていたら、教頭先生がやってきた。




「来づらかっただろう?よくがんばって来たな、瀬名。君は元々優秀な生徒だから、授業もすぐに追いつけるだろう。今日から心機一転、頑張るんだぞ。」



「はい…ありがとうございます。」





きっと、秋山先生が守ってくれたんだね。



自分が勝手に手を出しただけだ、なんて言ったんだろう。




だからこそ、その思いを無駄にしないように、頑張ろう。





「じゃ、失礼しましたー!」



そう意気込んで、エリカとユリと共に、職員室を出ようとした。




その時。






ーーードンっ…



「あ、ごめん!」




ちょうど職員室に入ってきた人とぶつかってしまった。





「いえ、こちらこそすみま…」





謝りながらその人物を見上げた時。




まさか、という気持ちと…




ああ、やっぱり私は幸せにはなれないんだって思いが






心の中で、交錯した。



< 34 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop