season
夜7時。




毎日の日課になっていた公園でのプチデート。




…今日はいるだろうか。





そんな思いで公園に向かうと、ベンチに人影が見えた。





「……良かった、居た。」




そんな俺の声に、ナツは俺を見て笑みを浮かべた。



…哀しげな笑みを。




そんなナツの隣に、静かに腰かけた。




「しかし、驚いたんですけど。まさかナツが高校生だったとは。」




「…学生って言ったじゃん。」




「大学生だと思ってたよ。なんならハタチくらいかと。」




「…そっちこそ、教師だなんて知らなかった。」



「言わなかったか?俺。」



「聞いてない!だいたい、最初春馬くんのこと、学生だと思ってたし。」





なんとなく最初に決めた、暗黙のルール。




お互い余計な詮索はしないって。




…にしても、ナツの年齢くらい聞いとけよ、俺!




ハタチだと勝手に思い込んでいた自分が悪い。






「……ナツの忘れられない恋は、あの学校にあったんだな。」





ベンチに座ったまま、夜空を見上げながら呟くと…





「…あの子たちから、あの後何か聞いた?」




ナツもまた、夜空を見上げながら答えた。


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