season

〜大貴side〜




「大貴ー、ちょっと牛乳買ってきてくれないかしら!」



夜、部屋でゴロゴロしていたら、母親に買い物を頼まれた。




しぶしぶスーパーに行き、牛乳を購入。




その帰り道、菜々子に会った。




「よ、菜々子。塾の帰り?」



「うん。大貴は?おつかい?」



「…これ。」



スーパーの袋に入った牛乳を見せると、菜々子は大爆笑。




「何笑ってんだよ。」



「だってー、大貴が牛乳買ってるの想像するだけで……あはは!」




ったく。



大爆笑の菜々子から目をそらし、何気なく車道を見た。



すると…



「……あ、アイツ。」



「え?」



菜々子が笑うのをやめて、俺を見る。




「そういや菜々子、夏海に彼氏できたの知ってる?」



「え、そうなの?てことは…秋山先生だっけ?あの人のこと、忘れられたんだねえ!」



安堵の表情を浮かべる菜々子。



「ほら、あそこに停まってる赤い車あるだろ?アイツだよ、夏海の彼氏。この前、夏海ん家の前でいちゃついてんの見ちゃったんだよな。」




「へー。どれどれ?赤い車のー…………えっ…」



笑顔で探していた菜々子が一変、真っ青な顔をして黙ってしまった。



「おい、菜々子?」



「大貴…本当に、あの人?本当に…あの人が夏海の彼氏なの?」



心なしか、声が震えているような。

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