season
「だから、いちゃついてんの見たっつっただろ。こんな恥ずいこと、何度も言わせんなよ。」
「だ、だって!!あの人…夏海の学校の先生だよ!?」
「は…?」
まず、自分の耳を疑った。
それくらい、俺も菜々子も、この現実を受け止められなかった。
…いや、受け止めたくなんかなかったんだ。
「なんで菜々子がそんなこと知ってんだよ。」
「この前…終業式の時ね。部活もなかったし久しぶりに夏海と帰ろうと思って、校門で待ってたの。で、夏海が傘を忘れて取りに戻った時に……あの先生が話しかけてたのを見たから…」
「見間違い…じゃねえの?」
必死に、現実から目をそらそうとする、バカな俺。
「…うちの学校にはいないような、若くてカッコいい先生がいるんだなって思ったし……それに、夏海が先生と話しながら笑ってるのが印象的だったから。夏海、笑えるようになったんだなって思ったのに…」
菜々子の声の勢いが失速していく。
と同時に、信号が青になり、赤い車が発進した。
「…菜々子、尾けるぞ!」
「え!?ちょっと大貴っ…」
何やってんだよ、夏海!
また傷つく気かよ!?
そんなこと…
俺がさせねえよ。