season
「こんな時間にどうしたの?二人とも。」
テーブルの上に紅茶のカップを置きながら、二人にそう問いかけた。
なんだろ…
なんだか、二人とも元気ない感じ。
すると、大貴が私と目を合わせないまま話し始めた。
「彼氏のとこ行ってたのか?」
「え?…うん。」
なんなの?
なんだか、尋問…みたいな。
大貴の態度が威圧的で、変。
「上手くいってんのか?」
「うん、まあ…。」
何でそんなことまで聞かれるんだろう、と思ったのは、ほんの一瞬だけだった。
「へえ。………相手、教師なのに?」
そう言った大貴と、やっと目が合った。
「な……んで……」
そう言葉にするのがやっとなくらい、驚きと恐怖が同時に私の心を襲ってきた。
「あたしが…昨日夏海のこと学校の前で待ってた時、見た先生だったから…。」
遠慮がちに話し始めた菜々子。
…昨日、私が傘を取りに行った時だ。
あの時、私が春馬くんと話していたのを、菜々子は見てたんだ。
…ウカツだった。
春馬くんと話せて、ドキドキしちゃってて…
あの時の私は、危機感のカケラも感じてはいなかった。